中小企業の人材定着率を劇的に上げる!今日からできる3つの習慣

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この記事を書いた人
大野輝雄

大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。

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「社員に、もっと自発的に動いてほしい」
「言われなくても、イキイキと働いてくれる人を増やしたい」

人手不足が深刻な今、中小企業の経営者の方は、こう願っているのではないでしょうか。高い給与を払うことだけが、人材定着を保証する方法ではありません。

先日、慶應義塾大学と日本生産性本部が、あるアプリを使った実証実験の結果を発表しました。それは、日々の「今日できたこと」を2週間記録するだけで、社員の働く意欲(ワーク・エンゲイジメント)が大幅に向上するというものです。この結果は、特別な研修や高額なツールを使わなくても、日々のちょっとした工夫で社員のモチベーションは高まり、結果として人材定着率が向上することを示しています。この記事では、この研究結果も踏まえ、中小企業で「やめない社員」を増やし、人材定着を成功させるためのシンプルな3つの習慣を、分かりやすくご紹介します。

 

なぜ「できたこと」を記録するだけでやる気が上がるのか?

実証実験で効果が確認された「ワーク・エンゲイジメント」という考え方。これは、社員が仕事に対して「活力」「熱意」「没頭」といったポジティブな心理状態で向き合えている状態を指します。この状態が、中小企業人材定着の鍵を握ります。

 

1. 「自信」という名のガソリンを補給する

多くの人は、仕事でミスをしたことや失敗したことを強く覚えています。しかし、日々の業務の中で「小さな成功体験」を積み重ねていることには、意外と気が付きません。

「今日できたこと」を記録し、意識的に振り返る行為は、社員に「自分は会社に貢献できている」「成長している」という自信を与えます。この「自信」こそが、社員のやる気を継続させ、定着を促す最も強力なガソリンになるのです。

 

2. 「やらされ感」から「自発性」への転換

上司からの指示やノルマといった「外からの圧力」で仕事をしていると、どうしても「やらされ感」が出てしまいます。これでは、社員の熱意は長続きしません。

ポジティブな振り返りは、社員自身に「自分はこれをやりたかったんだ」「これを達成できた」と感じさせます。この「内側から湧き出る意欲(自発性)」こそが、結果として中小企業離職率低下や、仕事への没頭につながっていくのです。

 

中小企業がすぐに始められる「定着」を高める3つの習慣

大企業のような大規模な制度変更は必要ありません。日々のコミュニケーションや仕組みに、少しの工夫を取り入れるだけで、中小企業人材定着は大きく変わります。

 

習慣1:毎日「1分間のポジティブ報告」を取り入れる

朝礼や終礼、ミーティングの最初や最後に、わずか1分間で「今日(昨日)一番良かったこと」や「小さな成功」を共有する時間を作りましょう。

  • 報告のハードルを下げる工夫:大きな成果でなくても、「お客様への電話対応がスムーズにできた」「新しいITツールを初めて使ってみた」など、小さな前進を承認し、拍手やねぎらいの言葉をかける習慣をつけます。
  • ネガティブな発言の禁止:「できていないこと」の報告は別の機会にし、この場はポジティブなエネルギーを満たす場所と徹底してルール化しましょう。

このシンプルな習慣が、社員の「活力を保つ土台」を作り、人材定着を支えます。

 

習慣2:人事評価を「減点方式」から「加点方式」に変える

社員の頑張りや成長を評価する際、「できていない点」ではなく「できた点」に光を当てましょう。

  • 評価基準の再定義:「失敗しなかったこと」を評価するのではなく、「新しいことに挑戦した事実」や「他の社員を助けた行動」といったポジティブな行為を評価の項目に含めます。
  • 「挑戦」を奨励する:新しい仕事に挑戦して失敗したとしても、その過程で学んだことを評価しましょう。「失敗してもいいから、やってみよう」という空気が、社員の熱意を引き出します。

加点方式の評価は、中小企業人材定着率を最も効果的に高める方法です。

 

習慣3:「ありがとう」の見える化で感謝を循環させる

社員同士の感謝の気持ちは、最も強力なモチベーションの一つです。しかし、感謝は伝えなければ伝わりません。

  • サンクスカードの導入:小さなカードや社内チャットツールを使い、社員同士がお互いに「○○さんのこの行動が助かったよ、ありがとう」とメッセージを送り合える仕組みを作りましょう。
  • 感謝のポイント制度:感謝のメッセージを多く受け取った社員を、月に一度全体で表彰したり、小さな報酬(お菓子やコーヒーチケットなど)と交換できるようにしたりすると、感謝が社内で循環するようになります。

感謝の循環は、社員が会社に「没頭」し、長く働きたいと感じるための強い土台となります。

 

まとめ:中小企業 人材 定着は「仕組みづくり」で実現する

この記事では、ポジティブな振り返りの有効性をもとに、中小企業が「やめない社員」を増やし、人材定着を成功させるための3つの習慣をお伝えしました。

社員の働く意欲(ワーク・エンゲイジメント)を高める仕組みをつくることは、人材確保定着において、コストパフォーマンスの高い対策です。小さな成功を認め、評価を「加点方式」に変え、感謝を循環させる仕組みを作りましょう。

「社員のやる気を引き出すための具体的な評価基準をどう作ればいいか?」「社員の定着率を高めるための就業規則のルールをどう整備すべきか?」といった具体的な仕組みづくりには、専門的な視点が必要です。私たち当事務所は、貴社の事業規模や風土に合わせた、社員のやる気を最大限に引き出す人事制度の設計と運用をサポートしています。社員の自発性を高め、長期的な成長を目指す中小企業からのご相談をお待ちしております。

 

参考資料

 

 

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