大野輝雄です。
(株式会社アクションパートナーズ、採用定着士、社会保険労務士)
「最新の経営モデルを知りたい」
「パーパス経営について知りたい」
などとお考えの大阪・兵庫の中小企業経営者さまに向けて、今回はパーパス経営について解説します。
昨今、注目を集めている「パーパス経営」は、社会との親和性を軸に置いた時代にマッチした経営モデルです。ビジョンと混合されることもあるため、パーパスとの違いをご紹介いたします。
また、自社でパーパスを策定する際のポイントや策定後に浸透させるポイントもお伝えしますので、社会から必要とされながら長く事業を続けていきたいとお考えの中小企業経営者さまはぜひ参考にしてくださいね。
■パーパス経営とは?ビジョンとの違い
まずは「パーパス経営」についてご説明いたします。
1.パーパス経営とは
「パーパス」とは、「社会における企業の存在意義」です。元々「Purpose(パーパス)」は「目的、意図」という意味があり、そこから発展して「存在意義」を指すようになったと言われています。
パーパス経営とは、社会における存在意義を軸にして行う経営のことです。
2.パーパス経営とビジョンの違い
「Vision(ビジョン)」は目指すべき理想像を描いたもので、「未来」に向けた文言であるのに対し、「Purpose(パーパス)」は今、企業が何のために存在しているのか「現在」を軸にしたメッセージとなります。
3.パーパス経営のメリット
流動的で予測困難な時代と言われる中、自社の存在意義を明確にすることで下記のようなメリットが期待できます。
・社会から支持される
社会課題の解決をパーパスに掲げることで、取引先やお客様・株主・地域の方々など、社会から応援され支持される企業になります。
「SDGs」や「サステナビリティ(持続可能性)」といったワードが注目される中で、企業活動においてもこれらに焦点をあてる企業を応援したい、と思う人が増えていることが背景です。
・従業員エンゲージメントがアップする
自社の存在意義=従業員の存在意義に直結します。「自分の仕事がこのような役に立っている」という思いはモチベーションとなり、企業への貢献度が高まったり退職率低下につながったりするでしょう。
・ブランディングの確立
「自社は〇〇な会社です」とPRしやすくなるため、ブランディングに有効です。採用にも良い効果を発揮し、パーパスに賛同する求職者が集まりやすくなることから、人手不足の解消や入社後のミスマッチにつながるでしょう。
■パーパスの作るときのポイント
パーパスは「自社は何のために存在しているか」といった観点で考えることがおすすめです。策定する際のポイントをご紹介します。
1.社会課題の何を解決するか?
パーパスを作るときには、「自社は社会課題の何を解決しようとしているのか?」考えましょう。環境問題や労働問題・その他困りごとなど、社会的に「課題」とされていることに着目します。もし思い浮ばないなら、国連サミットで採択された「SDGs17の目標」(※1)も参考にするといいでしょう。
2.利益を生むか?
企業であれば利益を生み続けなければ存続できません。「社会課題に着目する」とお伝えしましたが「社会貢献」に重きを置き過ぎて、利益を生まないパーパスを設定してしまうと経営が困難になってしまいます。自社の利益につながるように考えましょう。
3.今のビジネスにつながるか?
例えば、現在飲食業をしていないのに「食ですべての人を健康に」などといったパーパスを掲げることはおすすめしません。これまで行ってきたビジネスをもとに実現性を伴ったものを考えるといいでしょう。
4.メッセージ性があるか?
他社と差別化を誇れるオリジナリティを出すこともポイントです。エッジの効いたワードチョイスで心に響くメッセージを考えましょう。ただし、長すぎるのはNG。端的で伝わりやすい文言を推敲しましょう。
5.ビジョンとの一貫性はあるか?
ビジョンやミッションを、すでに設定している中小企業さまもあるかと思います。ビジョンやミッションで伝えていることと、パーパスが大きくずれないように気を付けましょう。
■パーパス経営を浸透させるポイント
パーパスは作って終わり、では意味がありません。そこで浸透させるポイントをご紹介します。
1.社員に伝える
パーパスは何よりも社員の共感・納得が重要となります。パーパス策定の背景や経営者さまの思いを伝えましょう。コミュニケーションを取りながら1人ずつ説明したり人事評価の中にパーパスの要素を入れたりすることもおすすめです。
2.業務に落とし込む
パーパスを実現するための業務や戦略を考えます。「パーパスにもとづいて行った業務でこのような成果が出た」といった実績が、社員のモチベーションとなり浸透につながります。
3.社外にアピールする
社内だけではなく、社外にもアピールすることがポイントです。ホームページやSNS、メディアでパーパスの文言と共に策定の背景を発信しましょう。文字コンテンツや動画などあらゆる方法で発信することで、幅広く自社の価値観を伝えることができます。
参考になれば幸いです。
またこのような情報をお届けいたします。
(※1)
unicef「SDGs17の目標」:https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/