中小企業 DX 人材育成の成功術!生産性3倍アップの鍵

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大野輝雄

大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。

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「うちの会社もDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要なのは分かっているけれど、何から手を付けたらいいのか……」「専門のIT人材なんて採用できないし、費用もかけられない」――そう考えていませんか。大企業のニュースを聞くと、中小企業には縁遠い話に聞こえるかもしれませんね。

しかし、大手自動車メーカーのスズキが発表したDX戦略には、中小企業が今すぐ取り入れられるヒントが詰まっています。スズキは、2030年までに全従業員を「デジタル人財」にし、間接業務の生産性を3倍にすることを目指しています。ここでいう「デジタル人財」とは、特別なITの専門家ではなく、AIやデータを使って自分の仕事を効率化したり、現場の課題をITで解決できる社員のことです。この記事では、大企業の壮大な目標を、中小企業が無理なく実現するための中小企業 DX 人材育成の3つのステップを、分かりやすく解説します。

なぜ今、中小企業にも「デジタル人財」が必要なのか?

「デジタル人財」と聞くと、高度なプログラミングスキルをイメージするかもしれません。しかし、中小企業 DX 人材育成は、もっと身近な存在を育てることが目的です。

1. 「人手不足」と「生産性向上」の同時解決

多くの中小企業が直面しているのは、慢性的な人手不足です。社員一人ひとりの負担は増える一方で、残業時間も増えがちです。

スズキの戦略が示す通り、デジタル技術は、この課題を解決する鍵となります。たとえば、今まで紙で行っていた申請業務をデジタル化したり、AIにデータを分析させることで、時間がかかっていた間接業務の生産性を大幅に上げることが期待できます。社員が本来の仕事に集中できれば、会社の利益も上がっていくはずです。

2. 「市民開発者」という考え方

スズキのDX戦略では、「市民開発者」という言葉を使っています。これは、現場で働く一般の社員が、プログラミングの知識がなくても、簡単なツール(ノーコード・ローコードと呼ばれる技術)を使って、自分たちの業務を改善していく人のことです。

中小企業こそ、この「市民開発者」を育てる発想が重要になります。なぜなら、現場の課題を一番よく知っているのは、そこで日々働いている社員だからです。外部のシステムに頼るよりも、社員自身が小さなIT改善を繰り返すことで、無理なく会社のデジタル化が進んでいくでしょう。

中小企業が「デジタル人財」を育てるための3つのステップ

外部からIT専門家を雇うのではなく、今の社員を「デジタル人財」に変えていくために、経営者が今すぐできる具体的なステップをご紹介します。これは、中小企業 DX 人材育成の核となるものです。

ステップ1:小さな「デジタルツール」から導入し、成功体験を積む

高額なシステムを一気に導入する必要はありません。まずは、社員全員が日常的に触れる、使いやすいデジタルツールを導入し、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。

たとえば、次のようなツールから始めてみましょう。

  • コミュニケーションツールの統一:メールだけでなく、チャットツールを導入し、情報共有のスピードを上げます。
  • クラウドでのファイル共有:紙の書類やバラバラなPCに保存されたファイルをクラウド(インターネット上の倉庫)にまとめ、どこからでもアクセスできるようにします。
  • RPAの導入(自動化):繰り返し行う定型的な事務作業を、簡単な自動化ツール(RPA)に任せてみます。

成功体験が、社員の「デジタルに対する苦手意識」を取り除き、「これなら自分でもできる」という自信につながるでしょう。

ステップ2:全社員に「DXの必要性」と「ビジョン」を共有する

スズキの戦略が役員全員のデジタル理解を掲げているように、社員に「なぜデジタルが必要なのか」を腹落ちさせることが重要です。単に「業務効率化」と伝えるだけでなく、会社の未来と結びつけて説明しましょう。

  • 経営者の言葉で伝える:「このままでは人手不足で事業が続けられない」「デジタル化で生まれた時間を、お客様へのサービス向上に使う」といった、具体的な言葉で伝えます。
  • 教育の機会を提供する:IT専門家を呼ぶのではなく、ツールの使い方やデータの見方など、実務に直結する内容の研修を、短時間で定期的に行いましょう。

社員が「これは自分の問題だ」と認識し、モチベーションを持って取り組める環境を整えることが大切です。

ステップ3:失敗を恐れず「現場の改善」を評価する仕組みを作る

社員を「市民開発者」として育てるには、現場からのアイデアや、小さなデジタル改善を積極的に評価する仕組みが必要です。

  • 改善提案を歓迎する文化:社員が「こんな機能がほしい」「この作業はAIに任せられないか」といったアイデアを自由に提案できる場を設けましょう。
  • 結果でなくプロセスを評価:いきなり大きな成果が出なくても、デジタル技術を使って改善にチャレンジした姿勢や、他の社員に教えた貢献を評価する仕組みを人事制度に組み入れます。

この「チャレンジを評価する文化」こそが、中小企業をデジタルに強い組織へと変える一番の原動力になります。

まとめ:中小企業 DX 人材育成は「会社の未来」への投資

この記事では、大企業のDX戦略をヒントに、中小企業が人手不足を乗り越え、生産性を向上させるための「デジタル人財」育成の3つのステップをお伝えしました。

中小企業 DX 人材育成の成功は、単なるツールの導入ではなく、「人への投資」で決まります。会社の未来を担う社員が、新しい技術を使いこなし、変化に対応できる強い組織を作るための土台作りが重要です。

「自社に合ったデジタルツールは何だろう?」「社員のITスキルを評価制度にどう組み込めばいいだろう?」――もし、そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ私たちにご相談ください。私たち当事務所では、貴社の業務内容や社員の状況に合わせて、無理なくデジタル化を進めるための人材育成計画や人事制度の設計をサポートしています。会社の成長を加速させるための土台作りを、一緒に進めていきましょう。

 

参考資料

 

 

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