中小企業の賞与制度の作り方!社員の納得感を高める3つの鍵

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この記事を書いた人
大野輝雄

大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。

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「今年の冬のボーナスは、一体いくら払うべきだろうか?」「大企業は景気が良さそうだけど、うちのような中小企業はどうすればいいんだろう?」

――毎年この時期になると、賞与(ボーナス)のことで悩む経営者の方は多いのではないでしょうか。

最近、東証プライム市場に上場している大企業の年末一時金、つまり冬のボーナスについての調査結果が発表されました。

なんと、その平均額は過去最高を更新したそうです。大企業と私たち中小企業では状況は異なりますが、このニュースは無視できません。

この記事では、この最新の動向を踏まえて、賞与制度をどう設計すれば、「社員が喜んで、会社も無理なく成長できる」ようになるのか、その仕組み作りについて、分かりやすくお話しします。

大企業のボーナス過去最高!中小企業が知るべきこと

最近、労務行政研究所が発表した調査結果によると、東証プライム上場企業の2025年冬のボーナスは、全産業の平均で87万4,214円となり、過去最高額を更新したそうです。これは、前年の冬に比べて4.4%、金額にして約3万7,000円も増えています。

この数字は、コロナ禍で一度落ち込んだものの、景気の回復に伴い、2022年から4年連続で増加していることを示しています。

これは、主に景気が回復し、大企業を中心に業績が上向きになっていることの証拠と言えるでしょう。

中小企業経営者が注目すべき「金額の中身」

大企業のボーナス額は、中小企業とは桁違いかもしれません。しかし、このニュースから読み取るべき大切な点があります。

それは、「給料や賞与を上げる」という動きが、単なる社会的なムードではなく、優秀な人材を確保し、会社に定着させるための「必須の経営戦略」になっている、ということです。

景気の良い大企業ほど、積極的に高い報酬を払って、良い人材を囲い込もうとしているのです。

中小企業は、大企業と同じ金額は払えません。だからこそ、金額だけではない「社員が満足できる賞与制度の仕組み」を考える必要があります。

中小企業のための「納得感のある賞与制度」の3つの作り方

では、大企業の動向を気にしつつ、中小企業はどのように賞与を決めていけば良いのでしょうか。金額の多寡だけではなく、「納得感」と「成長」に繋がる賞与制度の3つの作り方をご紹介します。

1. 「会社の業績」と「個人の頑張り」を連動させる仕組みを作る

ボーナスを「寸志」や「一律の金額」で済ませていませんか?

社員が一番やる気になるのは、「自分が頑張ったからこの金額になった」と実感できる時です。そのためには、賞与の計算方法を、以下の2つの要素で決める賞与制度が理想的です。

  • 会社の業績連動分: 会社の利益がどれだけ上がったかによって、社員に配るお金の総額を決めます。これにより、社員全員が「会社を成長させよう」という意識を持てるようになります。
  • 個人の評価連動分: 会社にどれだけ貢献したか、頑張って目標を達成したか、という個人の働きぶりを公正に評価し、その結果に応じて金額に差をつけます。

この2つの要素を組み合わせることで、「会社全体の成長」と「個人の頑張り」の両方に目を向けた、公平な賞与制度を作ることができます。

2. 「月々の給与」と「賞与」のバランスを調整する

社員の生活安定のためには、月々の給与(基本給)をしっかりと確保することが大切です。しかし、会社の業績には波があります。

そこで、月々の給与は安定させつつ、業績が良い年に大きく還元するために、賞与の割合を多くするという考え方があります。

  • 月々の給与を安定させる: 社会保険料や税金を決める基礎になるため、毎月の額を極端に変動させないようにします。
  • 賞与で柔軟性を持たせる: 会社の利益が出た時に、柔軟に金額を増減できるように設定しておきます。

このバランスを工夫することで、会社の経営が厳しくなった時に、賞与の調整で乗り切れる柔軟性が生まれます。また、賞与を多めに設定することで、社員も「次はもっと頑張ろう」という気持ちになりやすいのです。

3. 金額で勝てないなら「成長への投資」を制度化する

金額で大企業に勝てないなら、「成長の機会」で勝負しましょう。

賞与の一部を、社員の「自己成長」のために使うことを推奨したり、会社が費用を負担したりするのも有効な対策です。具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 資格取得支援の強化:資格取得のための費用を全額負担するなど、社員のスキルアップを積極的に応援します。
  • 研修・セミナー費用の負担:業務に必要な専門的な研修や、セミナーへの参加費用を会社が持つことで、社員の成長意欲を高めます。
  • 最新ツールの導入:仕事の効率を上げるために、最新の機器やITツールを導入し、働きやすい環境を提供します。

社員のスキルアップは、そのまま会社の力になります。お金だけでなく、「あなたの将来を応援する」というメッセージを伝えることが、社員の定着率を上げる大きな要素になるのです。

まとめ:中小企業 賞与 制度は「人への投資」と考えてみませんか

この記事では、東証プライム企業の冬のボーナスが過去最高になったというニュースをきっかけに、中小企業のための賢い賞与制度の決め方についてお話ししました。

賞与制度のポイントは、会社の業績と個人の評価に連動させて「納得感」を最優先させることです。

また、月々の給与と賞与のバランスを工夫することで、会社に経営の「柔軟性」も生み出します。

さらに、金額だけでなく、社員の「成長」に繋がる投資を提案することも、立派なボーナスです。

賞与は単なる経費ではなく、「社員のモチベーション」と「会社の成長」を生み出すための大切な人への投資です。

「うちに合った賞与制度ってどう作ればいいんだろう?」「評価制度とどう連動させればいい?」

――もし、そんな疑問や不安がありましたら、ぜひ私たちにご相談ください。

私たちは、あなたの会社の状況や予算に合わせて、社員がイキイキと働けるような、公平で分かりやすい賃金制度や評価制度の設計をサポートしています。社員の満足度を高め、会社の成長を支えるための人事戦略を、一緒に考えていきましょう。

 

参考資料

東証プライム上場企業の2025年「年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」結果(労務行政研究所, 2025年10月1日)

 

 

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