人手不足倒産を避ける対策|中小企業が今すぐ取り組むべき戦略は

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大野輝雄

大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。

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最近、「人手不足倒産」という言葉をよく耳にしませんか?

「人手が足りないことが原因で、会社を続けるのが難しくなってしまう」という、中小企業にとって非常に深刻な問題です。この人手不足倒産の対策を講じなければ、あなたの会社も危険にさらされてしまいます。

民間会社の調査によると、今年の1月~9月で、人手不足が原因となった倒産が過去最多を記録したそうです。特に、

  • 求人を出しても人が集まらない「求人難
  • 社員さんの給料を上げざるを得ない「人件費の高騰
  • ベテラン社員さんが辞めてしまう「従業員の退職

という3つの理由で、多くの会社が事業の継続を諦め、廃業に追い込まれています。

この状況は他人事ではありません。特に地域ごとの最低賃金がこれから上がっていく中で、コストが増えて収益の確保が難しくなる会社が増えてくると予想されています。

今回は、この「人手不足倒産」の現実を知り、あなたの会社を守るために今すぐできる対策について、一緒に考えていきましょう。

人手不足倒産はなぜ増えているのでしょうか?

人手不足による倒産が増えている背景には、いくつかの原因が絡み合っています。

人材の確保が難しくなっている

まず、何と言っても「働き手が減っている」ことが大きな理由です。少子高齢化が進む日本では、若い働き手が年々少なくなっています。

  • 求人を出しても応募が来ない:特に地方や専門的なスキルが必要な分野では、人材確保が非常に困難です。
  • 同業他社との競争激化:限られた人材を確保するために、賃金や待遇の競争が激しくなっています。これが、人件費高騰の一因ともなっています。

人件費の高騰が経営を圧迫している

次に、賃金の上昇です。最低賃金の引き上げや、良い人材を確保するための賃上げは、働く人にとっては嬉しいニュースですが、中小企業にとっては大きなコスト増になります。

  • 利益の減少:売上が変わらないのに人件費だけが増えると、会社の利益は減ってしまいます。
  • 資金繰りの悪化:特に体力の少ない中小企業では、急なコスト増に対応できず、資金繰りが悪化して倒産に追い込まれるケースが増えています。

従業員の退職による業務の停滞

また、長く会社を支えてきた社員さんが辞めてしまう「従業員退職」も、人手不足倒産の原因として急増しています。

  • ノウハウの流出:ベテラン社員が退職すると、その人が持っていた技術や知識も一緒に失われてしまいます。
  • 残された社員の負担増:辞めた人の分の仕事が残りの社員にのしかかり、過重労働になって、さらなる退職を招くという悪循環に陥りやすいのです。

人手不足倒産を防ぐために、今からできる3つの対策

倒産という最悪の事態を避けるためには、早めの対策が何よりも大切です。中小企業の経営者として、すぐにでも取り組めることをご紹介します。

1. 社員が「辞めたくない」と思える環境づくり

新しい人を採用するだけでなく、今いる社員さんに長く働いてもらう「定着率の向上」が、人手不足への最も重要な対策です。

  • 賃金や待遇の見直し:
    • 同業他社や世間の水準を参考に、給与や福利厚生が適切かを見直しましょう。
  • 働きやすい職場の整備:
    • 残業を減らすための業務改善:ムダな作業をなくし、効率の良い働き方を模索します。
    • ハラスメントのない環境づくり:社員さんが安心して働けるよう、相談窓口の設置や教育を徹底します。
  • 正当な評価と感謝の伝達:
    • 社員さんの頑張りを正当に評価し、「ありがとう」という言葉で貢献を認める姿勢が大切です。

2. 業務の「効率化」と「省人化」

人手不足が続いても、今いる人数で高い成果を出すための仕組みを作りましょう。これは事業継続の鍵となります。

  • デジタル技術の活用:
    • 事務作業を自動化する最先端のデジタル技術を導入し、残業を減らします。
    • 勤怠管理や給与計算などのルーティン業務をクラウドサービスに任せることも有効です。
  • 業務の「見える化」とマニュアル作成:
    • 誰でも同じように作業ができるマニュアルを作り、特定の人にしかできない仕事をなくします。
    • これによって、ベテラン社員が辞めても業務が滞るリスクを減らせます。

3. 採用活動の「魅力」を高める情報発信

求人を出しても人が集まらない「求人難」は深刻です。会社の魅力を正しく伝え、人材確保を強化しましょう。

  • ターゲットを広げる採用戦略:
    • 高齢者や主婦層の活用:ブランクのある方や短時間勤務を希望する方を積極的に受け入れます。
    • 外国人材の採用:特定技能や技能実習制度を活用し、新たな働き手を確保する道筋の検討もポイントです。
  • 会社の「強み」を具体的に発信:
    • 社員の声を活用:実際に働いている人の生の声は、求職者にとって一番の魅力になります。「なぜこの会社で働くのか」を具体的に伝えてください。
    • 給与以外の待遇をアピール:「働きやすさ」や「教育制度」、「社員の成長」など、人件費高騰だけではない会社の魅力を明確にします。

まとめ:人手不足倒産のリスクを乗り越えるための対策

人手不足倒産のニュースは、私たち中小企業の経営者に危機感を持つよう促しています。

大切なのは、この問題を一時的なものと考えず、会社の体質を根本から見直すチャンスと捉えることです。

社員さんを大切にし、効率を追求することで、「人が集まる、辞めない会社」を作っていくことが、この厳しい時代を生き抜くための生存戦略となります。

しかし、「どこから手を付ければいいかわからない」「制度設計は難しそう」と感じる方も多いのではないでしょうか。

私たちは、人手不足や人件費高騰に悩む中小企業の経営者様に寄り添い、具体的な解決策を提案しています。

会社の現状を丁寧にヒアリングし、助成金を活用した賃金制度の見直しや、社員さんの定着率を高めるための人事評価制度の構築を、経営者の視点でサポートします。

「事業を継続したい」というあなたの強い想いを実現できるよう、私たち専門家が責任を持ってバックアップいたします。まずはお気軽に、当事務所の人事・労務の無料診断をご利用ください。

 

参考資料:

東京商工リサーチ「2025年1月~9月『人手不足』倒産の動向(速報)」(2025年10月3日)

帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年4月~9月)」(2025年10月6日)

 

 

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