「この前まで、いつも通り働いていたはずなのに…」
突然、社員からの退職届を受け取って愕然とした経営者は少なくないと思います。
「給与に不満があったのだろうか」「他にやりたいことでも見つかったのか」
などと頭を悩ませても、多くの場合、本人の口からはっきりとした理由を聞き出すのは難しいものです。
しかし、社員は決して、一夜にして「辞めよう」と決意するわけではありません。実は、退職を決める数ヶ月前から、無意識のうちに「辞めたい」のサインを出していることが多いのです。
経営者であるあなたがこのサインに気づくことができれば、最悪の事態(退職)を未然に防ぎ、会社にとって大切な人財を守ることができます。
今回は、多くの社長が見落としがちな《社員が退職を考える頃に発している危険なサイン》を3つご紹介します。
サイン1:コミュニケーションの変化
いろいろな場面で消極的になったり無気力な様子が感じられたりする
- 意見・発言が消極的になる
以前は活発に意見を交わしていた社員が、急に発言が減ったり、会議でも無口になったりします。
- 雑談が減る
ランチや休憩中の雑談に参加しなくなったり、仕事以外の話を振っても上の空だったりします。これは会社や同僚との心理的な距離を置き始めている証拠です。
- 報告・連絡・相談が形式的になる
業務の進捗報告が簡潔になったり、問題が起こっても相談しなくなったりします。会社への貢献意欲が薄れ、「とりあえず言われたことだけやっておけばいい」という気持ちになっている可能性があります。
- 飲み会や社内イベントを欠席するようになる
以前は積極的に参加していたのに、理由をつけて参加しなくなる。これは会社とのつながりを断ち切ろうとする意識の表れかもしれません。
サイン2:仕事のパフォーマンスの変化
仕事上で、対応や成果が明らかに低下してくる
- 仕事の質や量が低下する
以前は完璧だった書類にミスが増えたり、納期を遅らせたりすることが増えます。仕事へのモチベーションが下がり、パフォーマンスが維持できなくなっている状態です。
- 新しい業務や責任を避けるようになる
「新しいプロジェクトに参加しないか?」「この仕事、君に任せたいんだ」と持ちかけても、前向きな返事をしなかったり、曖昧な態度をとったりします。これは会社での自身の成長や将来像を描けなくなっているサインです。
サイン3:身だしなみや態度の変化
規律意識や仕事への情熱が減少し、身の回りに表れてくる
- 遅刻や早退が増える
以前は定時出社していた社員が、小さな遅刻や早退を繰り返すようになります。これは、会社への規律意識が薄れているサインです。
- 身だしなみがだらしなくなる
清潔感に気を使わなくなったり、服装が乱れたりします。会社や仕事に対するプライドが失われつつある状態です。
- 休みがちになる
風邪や体調不良を理由に、有給休暇を取ることが増えます。これは、心身ともに疲弊し、会社から物理的に距離を置きたいという気持ちの表れかもしれません。
サインに気づいたら、どうすればいいのか?
これらのサインにひとつでも心当たりのある社員がいたら、まずは「話す機会」を設けてください。
「最近、少し元気がないように見えるけど、何か悩み事があるの?」
「良かったら、今度二人でゆっくり話さないか?」
と、相手の様子を気遣う言葉をかけ、心を開いてくれるのを待ちましょう。
この時、決して「辞めるつもりか?」などとストレートに聞くのは避けてください。詰問調になってしまうのは「辞めようか」と悩んでいるのが「辞める」に変わる危険があります。
大切なのは、問い詰めるのではなく、「あなたのことを気にかけている」という想いを伝えることです。
もし社員が本音を話してくれたら、その悩みに真摯に耳を傾け、一緒に解決策を探してください。
そんな様子の社員がいたら…
社員を大切にしたいと考える経営者のあなた。
あなたに大切なことは、社員のそういったサインをいち早く察知し、手を差し伸べることです。
そうすれば社員が辞めることを防ぎ、しっかり繋ぎ止め、信頼関係をより強固なものにすることができます。
私たちは、社員が「この会社で働き続けたい」と思ってくれるような、風通しの良い会社づくりをご提案し、サポートしています。社員の定着にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。