
「また、求人広告を出さなければならないのか……」
数ヶ月おきにやってくる求人媒体の営業担当と打ち合わせをし、数十万円の請求書を眺めて溜息をつく。そんな日々をいつまで続けるつもりですか?
従業員20名〜30名規模の組織において、離職が止まらない原因を「給料が安いから」「最近の若者は根性がないから」と片付けているなら、その考えこそが、あなたの会社の利益を蝕む最大の要因です。
19年にわたり100社以上の現場を支援してきた専門家として、はっきり申し上げます。
この記事では、単なる「手続き代行の社労士」ではなく、経営の参謀として、あなたの会社を「人が辞めるほど赤字が膨らむ組織」から「人が定着し利益を生み続ける組織」へ変えるための、外科手術的な処方箋を提示します。
1. 離職は「最大の経営損失」である。あなたは数千万円の赤字を垂れ流している
多くの社長は、求人広告費(見えるコスト)には敏感ですが、社員一人が辞めることによる「見えないコスト」には驚くほど無頓着です。
年収400万円の社員が、わずか3ヶ月で辞めた場合、あなたの会社が被る損害はいくらになるか。論理的なシミュレーション結果をご覧ください。
【離職による損失シミュレーション(年収400万円のケース)】
| 項目 | 損失額(概算) |
| 直接的採用コスト(求人広告・エージェント等) | 約120万円 |
| 在籍中の給与・社会保険料(3ヶ月) | 約115万円 |
| 教育・オンボーディングコスト | 約36万円 |
| 採用・面接にかかった社長の時間コスト | 約10万円 |
| 機会損失(本来生むはずだった利益) | 約100万円 |
| 合計損失額 | 約381万円 |
年収400万円の社員が3ヶ月で辞めるだけで、あなたの会社は約381万円もの損失を被ることになります。これは、たった一人の離職の話です。
もし、年に3人が入れ替わっていれば、年間で1,143万円。
30名規模の会社なら、利益の半分が吹き飛んでもおかしくない金額です。
この数値を前にして、まだ「数十万円の広告費をどう削るか」という次元で悩みますか?
本当に削るべきは、広告費ではなく**「離職という名の致命的な赤字」**です。
2. なぜ「給与を上げても」人は辞めるのか? 30人の壁に潜む真犯人
20名〜30名規模の会社には、必ずと言っていいほど「組織の歪み」が生じます。いわゆる「30人の壁」です。
社長が一人ひとりの顔を見て、背中で語り、食事に連れて行けば士気が上がった時代はもう終わりました。この規模になると、社員は社長の背中ではなく、**「会社の仕組み(ルール)」**を見ています。
人が辞める本当の理由は、給与の低さではありません。以下の3つの「欠如」です。
- 評価の公平性の欠如:「なぜ、あの人の方が給与が高いのか?」「頑張っても報われない」という不満。
- 未来の透明性の欠如:「この会社で5年後、自分はどうなっているのか?」という不安。
- リスペクトの欠如:社長や上司が、社員を「替えのきくパーツ」として扱っているという直感。
3. 離職率を根本から叩き潰す「3つの外科手術」
「人が辞めるのは仕方ない」と諦めるのは、経営の放棄と同じです。離職率を劇的に下げるためには、表面的な慰留ではなく、組織の構造そのものを変える「外科手術」が必要です。
私がコンサルティングにおいて実施する、3つの柱をご紹介します。
① 【評価制度】の構築:頑張りを「見える化」する
20〜30名規模になると、社長の「好き嫌い」で給与が決まっているという疑念が、社員のやる気を削ぎます。
- 解決策: 「何を、どこまで達成すれば、いくら昇給するのか」を明確な基準として言語化します。
- 効果: 社員は「自分の未来」を予測できるようになり、無用な不信感が消え、本業に集中できるようになります。
② 【労務コンプライアンス】の徹底:安心感という土台を作る
残業代の未払いや、不明瞭な休日設定。これらは社員にとって「会社からリスペクトされていない」というメッセージとして伝わります。
- 解決策: 就業規則を「形だけ」のものから、社員を守り、かつ会社の規律を正す「生きたルール」へアップデートします。
- 効果: 「この会社は自分を大切に扱ってくれている」という安心感が、定着率の土台となります。
③ 【採用基準】の再定義:スキルより「マインド」を重視する
「誰でもいいから補充したい」という焦りが、組織を壊すウイルスを招き入れます。
- 解決策: 会社の価値観(笑顔、礼儀、誠実さ)に合致しない人間は、どれだけスキルが高くても採用しないという「勇気ある基準」を設けます。
- 効果: 既存社員との摩擦が消え、組織の「空気」が劇的に良くなります。
4. なぜ「顧問社労士」では組織は変わらないのか?
多くの会社にはすでに顧問社労士がいるでしょう。しかし、彼らの多くは「書類を作る専門家」であって、「組織を作る参謀」ではありません。
- 一般的な社労士: 労働法に詳しいが、経営の現場や「人の感情」には踏み込みません。
- 私のスタンス: 19年、100社以上の修羅場をくぐり抜けてきた経験から、社長の孤独に寄り添いつつ、時には**「社長、今の態度は社員へのリスペクトに欠けています」**と直言します。
組織を本気で変えるには、法律の知識だけでなく、**経営者の覚悟を支える「参謀」**が必要なのです。
【あなたの組織の「健康度」を測る5つの問い】
この記事を読み終える前に、経営者として以下の5つの問いに、YesかNoで答えてみてください。
| 番号 | 問いかけ | 判定 |
| 01 | 直近1年で支払った「求人広告費」の総額を、1円単位まで即答できますか? | 経営の解像度 |
| 02 | 優秀な社員から「なぜ私の給与はこの額なのですか?」と聞かれた際、感情論抜きで、論理的に納得させられる評価基準が手元にありますか? | 評価の公平性 |
| 03 | 「代わりはいくらでもいる」という空気が、社内のどこかに漂っていませんか? | リスペクトの有無 |
| 04 | スキルは高いが、社内の礼儀や規律を乱す「二流の人間」を、人手不足を理由に放置していませんか? | 組織の規律 |
| 05 | 組織が変わらない原因の半分は、自分(社長)のマネジメントスタイルにある。その現実を受け入れる覚悟はありますか? | 経営者の覚悟 |
判定結果
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- すべてYesの方: 素晴らしい。私のコンサルティングは不要かもしれません。そのまま今の道を突き進んでください。
- 一つでもNoがあった方: 今、あなたのバケツには確実に「穴」が空いています。広告費を増やす前に、その穴を塞ぐのが先決です。
5. まとめ:穴の空いたバケツを修理する決断を
毎月の数十万円の求人広告費を「仕方ない経費」だと自分に言い聞かせるのは、もう終わりにしませんか。
その広告費を一度止めて、組織の地盤を固める「投資」に回してください。半年後、あなたの会社は「募集を出さなくても紹介で人が集まる」「入社した社員が数年経っても笑顔で働いている」そんな組織に生まれ変わっているはずです。
一流の経営者は、怒りを外部(社員や求人媒体)にぶつけず、自らの組織を律することで解決を図ります。
本気で「人が辞めない組織」を作りたいと願う社長様へ。
まずは、あなたの組織の現状を診断することから始めましょう。本気で組織を変えたい方のみ、個別相談にてお会いできるのを楽しみにしています。





