人手不足倒産の原因は人件費高騰?中小企業が取るべき対策

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大野輝雄

大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。

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人手不足倒産の原因は人件費高騰?中小企業が取るべき対策

「人手不足」による倒産件数が、調査開始以来初めて年間300件を超え、過去最多を更新した――。東京商工リサーチ様の最新の調査結果は、人手不足が多くの中小企業にとって、事業継続を脅かす最大のリスクとなっていることを示しています。

特に深刻なのは、「従業員の退職」や「人件費高騰」といった、ヒトにまつわる問題が直接的な倒産の原因になっていることです。優秀な社員がより良い待遇を求めて流出し、それを阻止するための賃上げが資金繰りを圧迫する。まさに、八方塞がりの状況と言えるかもしれません。しかし、打つ手がないわけではありません。この記事では、経営体力に不安を抱える中小企業でもすぐに実行でき、人手不足倒産リスクを回避するための「2つの具体的な対策」を、分かりやすく解説します。

倒産リスクを高める「人手不足」の構造を理解する

人手不足関連の倒産の増加は、単に人が集まらないという問題だけでなく、企業と社員の関係性が変わったことの表れでもあります。その構造を理解することが、対策の第一歩です。

1. 倒産の引き金となる2つの要因

東京商工リサーチ様の調査によると、人手不足関連倒産の内訳は、「従業員退職」が95件(前年同期比53.2%増)、「人件費高騰」が114件(前年同期比37.3%増)と大きく増加しています。

  • 従業員退職の連鎖:一人が辞めることで残った社員の負担が増え、さらに不満が溜まり、次の退職者を生むという負の連鎖が起こります。これが中小企業事業継続を困難にします。
  • 人件費高騰の圧力:流出を防ぐための賃上げや、新たな人材確保のための求人コスト増加が、利益を削り、資金繰りを急速に悪化させます。特に体力のない中小企業では、この圧力が倒産の直接的な引き金になってしまうのです。

2. 「安易な賃上げ」が必ずしも解決策ではない理由

「給料を上げれば人が定着する」と考えるのは危険です。資金繰りが苦しい状況で無理な賃上げをしても、一時的に退職は防げても、企業の体力を削るだけで長続きしません。

中小企業が取るべき対策は、「社員が納得できる」そして「会社が無理なく続けられる」待遇改善の仕組みづくりです。これには、給与だけでなく、働き方や評価制度といった、職場環境全体の見直しが欠かせません。

中小企業が今すぐ実行すべき「2つの倒産リスク対策」

人手不足による倒産リスクを回避し、強い会社を再構築するために、中小企業の経営者の方がすぐに着手できる「2つの具体的な対策」をご紹介します。

対策1:資金繰りに配慮した「賞与と評価の仕組み」を作る

安易なベースアップではなく、「頑張りが報われる」と社員が感じられる仕組みに変えることが、社員流出を防ぎ、定着率を高めます。これが、人件費高騰に耐えるための重要な対策です。

  • 賞与(ボーナス)の見直し:毎月の固定費となる月給を上げるのではなく、利益が出た時に還元する賞与の仕組みを活用しましょう。業績連動型の賞与制度を導入すれば、会社の成長と社員の頑張りが直結し、社員のモチベーションも高まります。
  • 明確な評価基準の設定:上司の主観ではなく、「誰が見ても公平だ」と感じられる評価基準を明確にすることが大切です。「どうすれば給料が上がるか」が明確になれば、社員は不安なく仕事に取り組めます。

対策2:社員が「長く働きたい」と感じる職場環境を作る

給与だけでなく、「働きやすさ」「居心地の良さ」も、社員が会社を選ぶ重要な要素です。

  • 柔軟な働き方の導入:短時間勤務、週休3日制、リモートワークなど、社員の事情に合わせた柔軟な働き方を選択肢として用意しましょう。特に介護や育児と両立したい社員の定着に大きく貢献します。
  • 業務負担の「見える化」と平準化:特定の社員に業務が集中している状態を解消するため、業務量や残業時間を「見える化」し、デジタルツールなどを使って、業務を広く分散させましょう。これにより、従業員退職の大きな原因である「疲弊」を防げます。

まとめ:人手不足倒産を防ぐために今すぐ行動を

この記事では、人手不足倒産の増加という危機的な状況を受け、中小企業の経営者の方へ、倒産リスクを回避するための「2つの具体的な対策」をお伝えしました。

人件費高騰という圧力に屈せず、賞与や評価の仕組みを整備し、柔軟な働き方を取り入れることは、社員流出を防ぎ、疲弊した社員を守るための防御策であり、未来への攻めの投資でもあります。現状の資金繰りの厳しさから目を背けず、まずは賃金制度就業規則の見直しから始めることが、人手不足倒産を防ぐための最初の一歩です。

「自社の体力に合った賞与制度をどう設計すればいいか?」「多様な働き方を就業規則にどう落とし込めばいいか?」といった、制度設計や法的な整備は、私たち専門家にお任せください。私たち当事務所は、貴社の資金繰りを圧迫せず、社員の定着率を最大限に高める人事・労務戦略の構築をサポートしています。強い会社づくりを一緒に進めていきましょう。

参考資料

株式会社東京商工リサーチ「1ー10月の「人手不足」倒産323件、年間最多を更新」(2025年11月5日)

 

 

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