女性活躍推進 中小企業が取り組むべき3つのステップ

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大野輝雄

大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。

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「女性社長が過去最高を更新!」「この15年で3.2倍に増加!」――。
東京商工リサーチ様の最新調査では、女性社長の数が過去最多となり、全社長に占める割合も過去最高を記録しました。これは、女性活躍推進が、単なる社会的な要請ではなく、新しい企業の成長エンジンになっていることを示しています。

人手不足が深刻化する今、優秀な女性人材の活用は、中小企業にとって喫緊の課題です。「大企業のような制度は無理だ」と感じている経営者の方も多いかもしれませんが、女性活躍推進は、高額な設備投資よりも、職場の意識改革から始められることがほとんどです。この記事では、この時代の流れをチャンスに変えるために、中小企業がすぐに実行できる「女性活躍推進」の3つの具体的なステップを、分かりやすく解説します。

 

女性活躍推進を「義務」ではなく「成長戦略」と捉える

女性が働きにくい職場は、女性社員を失うだけでなく、会社全体に悪影響を与えています。「女性が辞めても、男性で補充すればいい」という考えは、もはや通用しない時代です。女性活躍推進は、中小企業の未来を左右する経営戦略なのです。

 

1. 経営リスクとなる「人材の損失」を防ぐ

女性社長の増加からもわかる通り、女性は新しい視点や柔軟な発想を持っており、企業の成長に不可欠な存在です。しかし、出産や育児、介護といったライフイベントを機に、多くの優秀な女性社員が離職してしまっています。

  • 採用コストの無駄:せっかく育てた人材が辞めてしまうと、再び採用と教育にコストをかけなければなりません。これは、費用面だけでなく、時間的な大きな損失になります。
  • 多様性の欠如:多様な視点がない職場では、男性中心の固定観念に縛られた商品やサービスしか生まれません。女性視点を取り入れることは、新しい顧客層の開拓にも直結する、重要な経営戦略です。

 

2. 優秀な「男性社員」をも失うリスク

意外かもしれませんが、女性が活躍できない職場は、優秀な男性社員からも敬遠されがちです。現在の若手男性社員は、育児への参加意欲が高く、働きやすさを重視する傾向があります。

「この会社は、結婚したら妻に負担がかかるだろう」「育児休暇を取りにくい雰囲気がある」と感じると、転職を考える男性が増えているのです。女性活躍推進は、性別に関係なく、全社員の定着率を上げるための必須条件になっています。

 

中小企業がすぐにできる「女性活躍推進」3つのステップ

高額な制度は後回しにして、まずは社内の意識を変えることから始めましょう。中小企業だからこそできる、きめ細やかな対策が効果を発揮します。

 

ステップ1:「育児・介護休業法」の周知徹底から始める

女性活躍の第一歩は、社員が安心して休める土台作りです。法律で定められた制度があることを、経営者自身が理解し、社員に周知することが大切になります。

  • 制度を「当たり前」にする:育児休業や短時間勤務制度について、「遠慮せずに使っていい」というメッセージを、社長自ら発信しましょう。制度があっても使われなければ意味がありません。
  • 時間単位の休暇の活用:2021年の法改正で義務化された「時間単位の介護休暇」など、柔軟な働き方ができる制度を積極的に活用し、社員の負担を減らしましょう。

 

ステップ2:女性社員を「管理職候補」として明確に育成する

女性活躍推進とは、ただ女性を雇用することではなく、重要なポジションで能力を発揮してもらうことです。

  • キャリアパスの明示:女性社員に対し、「5年後にはこのポジションを目指してほしい」という具体的な**キャリアパス(昇進の道筋)**を提示しましょう。将来の展望が見えることで、モチベーションが維持されます。
  • ロールモデルの共有:もし社内に女性管理職がいない場合は、他社の成功事例や、外部で活躍している女性リーダーの情報を共有し、「自分もなれる」という**目標像(ロールモデル)**を持ってもらうことが大切です。

 

ステップ3:「見えないハラスメント」の防止体制を整える

女性社員が辞める大きな原因の一つに、職場の「雰囲気」や「人間関係」があります。特に、無意識の偏見によるハラスメント(マタハラやジェンダーハラスメント)は、離職に直結します。

  • 相談窓口の明確化:社長や直属の上司とは別の、社外の専門家など、安心して相談できる窓口を設けることが重要です。
  • 就業規則への明記:ハラスメント行為は決して許さないという会社の姿勢を、就業規則に明確に記載し、全社員に徹底しましょう。これにより、誰もが気持ちよく働ける職場環境が実現します。

 

まとめ:女性活躍推進は企業価値を高める投資である

この記事では、女性社長が増加しているという時代の潮流を捉え、中小企業が優秀な女性人材を確保し、企業の成長につなげるための「女性活躍推進」の3つの具体的なステップをお伝えしました。

女性活躍推進は、決して「特別な優遇」ではありません。優秀な人材を失わないためのリスクマネジメントであり、新しい視点を取り込むための未来への投資です。

「育児・介護休業法の周知はどうすれば効果的か?」「就業規則にハラスメント規定をどう盛り込めば、社員が安心できるか?」といった法的な土台づくりと制度設計は、専門家にお任せください。私たち当事務所は、貴社の状況に合わせた、女性が能力を発揮し、定着できる職場環境の整備をサポートしています。女性活躍推進を成長の力に変える仕組みを、私たちと一緒に作りましょう。

 

参考資料

 

 

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