社員のモチベーション低下を防ぐ!中小企業ができる3つの対策とは

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この記事を書いた人
大野輝雄

大野輝雄社会保険労務士事務所 代表
株式会社アクションパートナーズ 代表取締役

社会保険労務士
一般社団法人 日本キャッシュフローコーチ協会 認定キャッシュフローコーチ
一般社団法人 採用定着支援協会 認定採用定着士
銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ

関西学院大学卒業、2007年に社会保険労務士として独立。大阪市内を中心に人事・労務についてのサポートやセミナー業務を行っている。同株式会社ならびに社労士事務所にて支援した企業は100社以上。大阪商工会議所、神戸商工会議所、堺商工会議所、高槻商工会議所等にてセミナー実績90回以上。

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「静かな退職(クワイエット・クィッティング)」という言葉を聞いたことはありますか?

これは「会社を辞めるとは言わないけれど、仕事で最低限のことしかやらない状態」のことを言います。

まるで心の中でひっそりと会社を辞めてしまっているような状態です。

リクルートマネジメントソリューションズの新しい調査によると、なんと4人に1人(27.7%)が、自分の職場にこうした「静かな退職者」がいると感じているそうです。

これはもう他人事ではありません。あなたの会社にも、やる気を失い、力をセーブしている社員がいるかもしれません。

この記事では、この「見えない辞職」があなたの会社に与える影響と、社員のモチベーションの低下を防ぎ、やる気を再び引き出すために、経営者であるあなたが今すぐできる具体的な対策を、わかりやすく解説します。

あなたの会社にもいるかもしれない「静かな退職者」

冒頭にも書きましたが「静かな退職」とは、社員が仕事に対して「頑張りすぎない」と決めてしまうことです。たとえば、次のような行動が見られます。

  • 定時ぴったりで帰宅する: 残業を頼まれても、きっぱり断ります。
  • 頼まれなければやらない: 自分の仕事の範囲外のことは、決して手を出しません。
  • 新しい提案はしない: 会社を良くするためのアイデアや意見を出すのをやめます。

彼らは会社に不満があるわけではなく、「頑張っても報われない」「これ以上やると心が疲れてしまう」と感じています。

この「報われない」という感覚が、モチベーションの低下を引き起こす最大の原因です。その結果、自分の心を守るために、仕事への熱意を抑えてしまうのです。

「静かな退職」が会社に与える二つの顔

調査では、「静かな退職者」がいることで、職場に良い影響と悪い影響の両方が出ていることがわかりました。

5割以上が感じた「不利益」

静かな退職者がいると答えた人の55.1%が、「不利益を被った」と感じています。これは、社員のモチベーション低下が会社に与える具体的なダメージです。

  • 仕事が一部の人に偏る: やる気のある社員にだけ、仕事や責任が集中してしまいます。
  • 職場のムードが悪くなる: 「なんであの人はやらないんだ」という不満がたまり、チームの雰囲気が悪くなります。
  • サービスや品質が下がる: 最低限の仕事しかしないため、お客様へのサービスや商品の質が落ちてしまう可能性があります。

意外にも15%が感じた「恩恵」

一方、15.1%の人は「恩恵を受けた」と感じています。これは、静かな退職者が悪いことばかりではない、というヒントを与えてくれます。

  • ムダな残業が減る: 定時で帰る社員が増えたことで、周囲も「本当に必要な仕事だけやろう」と考えるようになります。
  • 会議が短くなる: 「最低限のことだけ」という意識が広がり、長時間のムダな会議や打ち合わせが減るきっかけにできます。

つまり静かな退職は、あなたの会社が「ムダな頑張り」を社員に求めていないかを見直す、良いチャンスでもあるのです。

社員の「やる気」を引き出す!モチベーション低下を食い止める3つの対策

静かな退職者を責めてはいけません。彼らの心の声を聞き、「ここでなら頑張っても大丈夫だ」と思える仕組みを作ることが、経営者であるあなたの仕事です。

対策1:心の負担を取り除くコミュニケーション

まず、社員の負担が大きすぎる状態を解消し、彼らの声をしっかりと聞きましょう。これが、モチベーション低下を防ぐ基本です。

  • 仕事の量をチェックする: 一部の社員に仕事が偏りすぎていないか、仕事の内容を見直して、公平に分け直しましょう。
  • 1対1の対話(1on1)を大切にする: 業務報告だけでなく、キャリアの希望やプライベートな悩みも聞く時間を設けましょう。経営者や上司と話すことで、「自分の存在が認められている」と感じることが、やる気の回復につながります。
  • 休むことを勧める: 有給休暇をしっかり取るように声をかけ、休むことに罪悪感を持たせない環境を作ってあげてください。

対策2:「頑張りが報われる」公平な評価の仕組み作り

社員のやる気を上げるには、「頑張りが評価され、給料に反映される」という納得感のある仕組みが不可欠です。

  • 評価のルールを透明化する: 「何を頑張れば、いつ、どれくらい給料が上がるのか」を明確にした評価のルールを作り、社員全員に伝えましょう。
  • 成果とプロセスを両方見る: 結果(成果)だけでなく、そこに至るまでの努力(プロセス)や日々の貢献も見過ごさずに評価に含めてください。
  • 定期的なフィードバックを行う: 評価の結果を伝えるだけでなく、「なぜその評価になったのか」を具体的に説明することで、社員の納得感が高まります。

対策3:成長と挑戦の機会を提供する

将来への希望が持てないと、社員は最低限のことしかやらなくなります。成長の機会を提供することが、モチベーション低下を根本から防ぎます。

  • キャリアパスを明確に示す: 「この会社で働き続ければ、どんなスキルが身につき、どうなれるのか」という道筋を具体的に示してください。
  • スキルアップをサポートする: 資格取得の費用を助成したり、社外研修に参加させたりするなど、社員の自己成長を支援しましょう。
  • 柔軟な働き方を認める: 仕事とプライベートを両立しやすい、フレックス制度やリモートワークなど、柔軟な勤務体制がポイントになります。

まとめ:モチベーション低下の対策が、会社を成長のチャンスに変えるカギ

今回の調査結果は、「社員のやる気を引き出すこと」が、今の経営者にとって最も重要な課題であることを示しています。

「静かな退職」というサインは、あなたの会社が「頑張りが報われない仕組み」になっていないかを見直す、絶好のチャンスです。社員の心の声に耳を傾け、公平な評価制度やムダのない働き方を作り直すことが、会社を強くする唯一の道です。

私たちは、あなたの会社の未来を守る専門家です。社員のモチベーション低下を防ぎ、やる気を高める給料の決め方や、公平で納得感のある評価制度の仕組みづくりを、全力でサポートしています。

「どこから手をつけたらいいか分からない」という時こそ、あなたの会社の未来を守るための第一歩として、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。あなたの会社を社員が心から活躍できる場所に変えていきましょう!

 

参考資料:リクルートマネジメントソリューションズ「働く人の本音調査2025 第2回」(2025年9月24日)

 

 

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